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『お盆のしきたり』


1.迎え火と送り火
 「迎え火」は、お盆の始まりの日の夕方に門や玄関の前、軒先などで焚く明りです。故人の精霊が家に帰ってくる時に道に迷わないようにとの願いから、陶器のおぼんや素焼きのほうろくなどにオガラ(麻の皮をはいだ茎)や白樺の皮、地方によっては藁を焚いて道標とします。墓地近くの家では、お墓参りをして、盆灯籠に火をつけてお迎えします。
迎え火を焚いた後は、その火を移してお灯明をともし、盆堤灯の明りをつけます。
 お盆の終わりの日の夕方には「迎え火」を焚いた同じ場所で、「送り火」を焚き、合掌礼拝し、帰る道を照らして精霊を送ります。墓地近くの家では、お墓参りすることは迎え火の時と同じです。

2.精霊棚
 宗派や地方によって多少異なりますが、お盆を迎えるにあたり、お仏壇の前に「精霊棚」を設けます。精霊棚とは、「盆棚」「霊棚」「魂祭り棚」ともいい、お仏壇の前に置いた小机にゴザを敷いて作った棚です。ゴザは、手前の方は床に垂らしておきましょう。餓鬼道世界で苦しんで力の衰えた精霊でも、よじ登ってこられるように、との配慮からです。
 棚の四隅に青竹を柱として立てて、上に「真菰の綱」を張り、盆花を吊します。先祖の精霊は普段、山頂や原野にあって子孫を見守っている、と考えられていたので、盆花は山野の草花がお飾りに使われます。真菰の綱は、この中にご先祖の霊が来るというしきりを作るためです。そして、真菰の簾のところには本尊や先祖代々の位牌を安置し、その前に三具足、もしくは五具足などの供養のための仏具を整えます。霊前には、霊膳や盆花、野菜、果物、故人の好物を供え、キュウリにオガラを刺して作った馬、ナスにオガラを刺して作った牛などを飾ります。この馬と牛には、先祖の霊が馬に乗ってこの世に帰り、牛に乗ってあの世に戻る、という意味が込められています。
 ただし、浄土真宗では、自分の善行や施物を死者に回向する「追善供養」の思想はありません。他界した人は阿弥陀如来の本願によって浄土に往生するという教義なので、迎え火、送り火、精霊棚などは行いません。

1.迎え火と送り火
 精霊流し(灯籠流し)は、お盆のお供え物やお飾りをのせた精霊舟(灯籠舟)に火をともして、川や海に流す行事です。川は山に発し、海に流れてゆくからでしょうか、灯籠を流す地域もあります。これは「精霊送り」と「送り火」を一緒にしたものです。

 


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