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『お彼岸のお墓参り』


●日本で始まったお彼岸の行事
 お彼岸は「彼岸会(ひがんえ)」とも言い、春は3月21日頃の春分の日を挟んで前後3日間ずつ、秋は9月23日頃の秋分の日を挟んで前後3日間ずつのそれぞれ1週間のこ とをいいます。
 彼岸とは向こう岸を意味する言葉で、仏の理想の世界であるこの世の向こう岸、つまり浄土のことを言います。浄土に渡るために、仏さまの教えを守り、修行に励む期間で あるとともに、浄土に住んでいる故人に思いを馳せ、供養を行う期間です。これは春分の日、秋分の日とも、真東から出た太陽が、浄土があるとされる真西に沈む日であることから始まった日本独自の行事です。仏教行事ではありますが、インドや中国にはありません。
 この彼岸法要が日本で初めて行われたのは、今から約1200年前のことです。諸国にあった国分寺の僧侶が、春と秋の2回、中日を挟んで前後3日間の計7日間にわたり仏をたたえてお経をあげたと伝えられています。それから次第に、一般の人にもお彼岸の法要として供養することが広まってきました。

●お寺での彼岸会
 お寺では「彼岸会」の法要がお彼岸の期間に営まれます。読経や法話が行われますのでお彼岸には単にお仏壇を掃除し、お墓参りをするだけでなく、壇那寺や大きなお寺の「お彼岸の法要」にお参りすることも大切です。彼岸に思いをめぐらし、亡き人を偲んで供養すると共に、私たち自身が仏の教えを実践する機会を持つことが必要だからです。

●彼岸のお墓参り
 お墓参りはできるだけ家族全員で出かけましょう。特に子どもには、できるだけ幼い頃からお墓参りの習慣を身につけさせることも大切です。お墓参りに必要な物は、線香、ロウソク、数珠、マッチ、供物や献花、手桶、ひしゃくなどです。また、お墓を掃除するために、たわし、ぞうきん、ほうきなどもあると便利でしょう。この中にはお寺や霊園で借りたり買ったりできるものもあります。また、数珠は必ず持って行くようにします。
 お墓参りの手順は、まず、ゴミや落ち葉、雑草を取り除き、墓石をたわしでよく洗います。文字を刻んである部分の汚れは、歯ブラシで磨くとよいでしょう。
 最後に墓石に水をかけて汚れを流し、ぞうきんで水を拭きとります。掃除の後、供物を供えましょう。お菓子や果物などの食べ物を供える場合は、半紙を2つ折りにした上に置くとよいでしょう。花立てには水を十分入れ、生花を飾ります。水鉢にも水を入れておきます。お供えが終わったら、線香を焚きます。お参りをする時は、墓石よりも体を低くするのが礼儀です。数珠を持って静かに手を合わせ、故人に対する思いや近況を語らいます。
 壇那寺にお墓がある場合は、まず本堂に寄って本尊にお参りしましょう。また、故人のお墓だけでなく、周辺のお墓もお参りしたいものです。墓地は神聖な場所です。自分の墓所だけでなく、周囲のお墓に迷惑がかからないように気をつけてお参りしましょう。

 


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