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『寿陵(じゅりょう)って何?─生前に建てる墓─』

 生きている間にお墓を建てる人が増えています。これを寿陵(墓)あるいは生前墓と呼びます。見たことのある人も多いと思いますが、朱で戒名が刻まれているお墓が寿陵です。民間の霊園では最近、申込者の半数が生前にお墓を求めていると言われています。
 古来中国では生前にお墓を建てることは長寿を授かる縁起の良いこととされていました。古書にも「寿蔵」「寿穴」「寿堂」などと書かれています。最近では縁起のためだけでなく、子供に負担をかけたくない、または自分の気に入った墓碑銘や石、場所などを選びたいという人が寿陵墓を建てているといわれています。


●寿陵墓は縁起が悪い?
 生きているうちにお墓を建てると早死する、または悪いことが起きると言う人も多いようですが、それは迷信です。「寿陵」の寿が示すように「家に幸せをもたらし、長寿が約束される」といわれ、大変おめでたいお墓なのです。
 仏教の教えにおいても、「寿陵」を建てることは、「逆修(ぎゃくしゅう)」すなわち「生前、自分のために仏事をいとなみ、冥福を祈ること」を為すことでもあります。「逆修」は善根を導き、それによって功徳がもたらされます。そして「功徳」はさらに、子から孫へと残すことができ、未来の繁栄と幸福につながると言われているのです。

●寿陵墓のメリット
 誰か身内が亡くなった時、「すぐにお墓を…」といっても、満足のいく墓地を見つけることは簡単なことではありません。その意味で寿陵を建てておけば、いざというときに「安心」です。何よりも後に残った家族への負担を軽減することができ ます。
 またお墓は課税の対象にはなりませんので、相続の際に相続税はかかりませんし、不動産取得税・固定資産税などもかかりません。親が寿陵墓を造っておけば、相続の時に墓地代は除外することができるのです。
 また、お墓だけでなく仏壇や礼拝物などは、どんな高価なものでも税はかからないので、節税対策としてのメリットがあります。

●寿陵墓でも開眼法要は必要なのか
 墓石を建立したならば、最初に墓石に魂を入れる「入魂式」を行います。魂を入れない墓石はただの石にすぎません。墓前でお坊さんに、開眼(入魂)のお経を唱えていただき、魂を迎え入れることが必要なのです。分家であっても開眼法要を行うことによってご先祖との絆が生まれ、「先祖代々の墓」になるのです。

 


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