知っておきたい 葬儀の基礎知識

葬儀の意味

葬儀や告別式は何のために行うのでしょうか?  社会的な意味や心理的な意味、宗教的な意味があります。

社会的意味

葬儀・告別式には、故人が亡くなったことを社会的に知らせ、故人とお別れをしていただく意味があります。
また、故人なき後の遺族と、親族や知人との関係を新たに取り結ぶ機会でもあります。

最近は家族葬のような、少数の参列者で葬儀・告別式を行いたいという人が増えています。
しかし、故人の知人が故人とお別れする機会を持てませんので、葬儀の後、多くの方が自宅にお別れにいらっしゃることを考慮する必要があります。

心理的意味

遺族は愛する親族を喪うと、大きなショックや悲しみに見舞われ、なかなか故人が亡くなったことを信じることができません。
また、生前にもっと良くしてあげたかったという後悔を長くひきずることもあります。

葬儀は、故人が亡くなったことを受け入れ、お別れして気持ちを整理する機会になります。
また、葬儀は故人にしてあげることができる最後のことですので、ご遺族が納得できる形でお送りすることで、後悔をひきずらないようにすることができます。

宗教的意味

葬儀は本来、宗教的な儀式です。最近は無宗教の形式で葬儀をする方も増えています。それも良いでしょう。
しかし、頭ではそう思っていても、心の底では後悔や不安が残ることもありますので、ご親族で十分に相談して決めましょう。

仏教

仏教では人は死ぬと、、一般に、49日で輪廻して生まれ変わると考えます。ただし、悟りを開いて仏となった者は仏の世界に入って生まれ変わることはありません。生まれ変わる者は生前の行いによって、神、人間、動物、地獄などのいずれかに生まれ変わります。仏教徒の多くは、人間として清らかで安楽に暮らせる浄土に生まれ変わり、その後は仏の世界に入りたいと望みます。西方にあるという極楽浄土も地下にあるという地獄も、死後のあの世の世界ではなく、生まれ変わって行くこの世の世界の一つです。
浄土宗、浄土真宗は阿弥陀如来の極楽浄土に、真言宗は弥勒菩薩の都率浄土あるいは大日如来の密厳浄土に、天台宗は阿弥陀如来の極楽浄土あるいは仏の世界に、日蓮宗はお釈迦様が法華経を説いた霊山浄土に、禅宗は仏の世界に至ることを目指します。

仏教の葬儀では、故人をお釈迦様の弟子とする「受戒」の儀式と、浄土や仏の世界へと至れるように導く「引導」を行います。
ただし、浄土真宗では、信徒はすでに極楽浄土に至ることが決まっていると考えますので、受戒も引導もせず、葬儀は仏縁を深めて感謝し極楽浄土で再会することを約束する儀式です。

キリスト教

キリスト教では洗礼を受けた人は、死後、キリストと結ばれてキリストの体の一部になり、永遠の生命を得るとします。そして、終末の日に、浄化された肉体のままで神の国に復活すると考えます。

キリスト教の葬儀では、キリストによって死者を神のみ手に委ね、復活の恵みを確認・感謝し、キリストの再臨と死者の復活を待ち望んで祈ります。

神道

神道では、一般に、人は死ぬと氏神の元に帰って行き、子孫を見守ると考えます。また、子孫の供養をうけることで、徐々に個性を脱して浄化されていき、最後は神に融け入るのです。

神道の葬儀では、氏子が亡くなったことを氏神と家の祖霊舎に奉告し、祖先の元に帰れるように導き守って欲しいと願って、先祖の元へ送ります。また、残された家族を見守って下さいと祈ります。

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