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『お仏壇と神棚』

 仏壇と神棚を同じ部屋におまつりしてもいいのかという疑問を感じる人は少なくありません。
 仏壇は仏教の祭壇であり、神棚は神道の祭壇です。だからお坊さんや神主さんに聞くと、「同じ部屋にはまつらないように」と答える人が多いのです。お坊さんや神主さんの立場としては、そう答えざるをえないのはわかります。
 けれども、「仏壇をまつるなら、家に神棚はいらない」とか「神棚をまつるなら、家に仏壇はいらない」という人はほとんどいません。お坊さんや神主さんといえども仏壇と神棚の両方を、同じ家の中に祀ることは認めているのです。
 もともと日本では、仏教と神道はともにいい影響を与え合いながら、時には混じりあって、現代まで伝えられてきました。江戸時代まではお寺の中に神社があったり、神社の中にお寺があることは、あたりまえのこととして人々は受けとめていました。
 明治維新の時に、政府の方針で神仏分離令が出され、その時にむりやり仏教と神道を引き離したので、今はお寺と神社がほとんど別々に存在しています。
 お寺と神社は引き離されてしまいましたが、それぞれの家では、仏壇と神棚をならべてまつるという習慣が残りました。現代でも地方では、仏壇と神棚をならべてまつっている家は多いようです。
 こうした日本人の「神仏習合」の信仰は、欧米人から「純粋でないもの」「野蛮なもの」と見なされます。明治以降、欧米の考え方に大きな影響を受けた日本でも、同様に考えられるようになってきます。
 しかし最近ではこうした「神仏習合」の信仰が、決して劣っているわけでなく、逆に優れたところも多いのではないかと見なおされるようになってきたのです。純粋さを求める様々な宗教が、世界各地で宗教紛争を起こしている現代においては、仏壇と神棚を仲よくならべている日本人の信仰が逆に素晴らしいものに見えないでしょうか。
 だから仏壇と神棚を同じ部屋にまつることはいっこうに構いません。もちろん気になる人は別々の部屋にしたほうがよいでしょう。無理に同じ部屋にすることはありません。
 同じ部屋にする時は、向かい合わせにだけはしないように気をつけてください。仏壇に向かう時に神棚にお尻を、神棚に向かう時に仏壇にお尻を向けることになりますから。

 


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