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『こうしてお仏壇はつくられる』


1.木材の特徴
 お仏壇の素材となる木材は、唐木仏壇と金仏壇では異なる素材を使用しています。
 唐木仏壇は、木本来の美しさを生かしたお仏壇であるため、どんな木材を使っているかが重要になります。
 黒檀や紫檀は最高級の木材です。硬い木質で、耐久性に優れています。これらの多くは主に熱帯地方に育つ広葉樹で、以前は中国を経由して輸入されていたため「唐木」と呼ばれるようになりました。実際にはアジアやアフリカなど広範囲から輸入されており、国内産の木材も利用されています。
 鉄刀木(たがやさん)は木目の美しい木材で、木の表面近くは淡黄色で芯は紫黒色、黒褐色をしています。アフリカや東南アジア、中米、西インド諸島などから輸入されています。
 他に輸入木材としては、南米産の黄王檀(黄金檀とも呼ぶ)や黒柿、楓(カナダ)、花梨(マレーシア)があります。
 国産の木材としては、屋久杉、桑、欅が代表的です。
 鹿児島県屋久島産の屋久杉は、お仏壇の材料としては最高級です。大木であるにもかかわらず細やかで美しい木目を持ち、色調が時を経るにつれて変化し、品格に深みを増していくことも、お仏壇の価値を高めています。また、油脂分が多いために腐りにくいのも特徴です。
 桑は日本中に自生していますが、中でも伊豆諸島産の桑は島桑と呼ばれ、良材で有名です。木目は緻密で美しく、江戸時代から江戸指物の材料として用いられてきました。
 欅は古くから神社や寺院の建築材料として利用されており、日本人にはとても馴染みのある木材です。はっきりした木目の美しさと、強度と耐久性があるのが特徴で、お仏壇の材料としてはとても優れたものです。
 この他に国産の木材として、一位、桜、楠、槐などが使われます。
 金仏壇に使われる木材としては、主なものに桧、欅、杉、アガチス(インドネシア・ニューギニア産)などがあります。

2.工法について
 唐木仏壇に使われる銘木は高価であるため、銘木だけでお仏壇を作るということはめったに ありません。多くは目に見えるところに銘木を使い、その他の部分には別の木材を芯材として使っています。この見えるところにだけ唐木を使う工法を「練り」と呼びます。厚さ5〜7ミリ メートルの唐木を芯材に接着しますが、「ツキ板」といって唐木を紙のように薄くスライスし て芯材に張りつける方法もあります。
 お仏壇の前面部分にだけ唐木が使われているものを「前練り」、前面部分とお仏壇の内側に唐木が使われているものを「二方練り」、さらに二方練りに加え戸障子を開くと目につく側面 に唐木を使ったものを「三方練り」、芯材を銘木で囲んだものを「四方練り」と呼びます。工法によって使われる銘木の量と手間が違うため、お仏壇の値段もそれに応じて変わってきます。
 他には芯材に直接木目を印刷したものや、木目の印刷されたビニール・シートを張りつけたものもありますが、耐久性が悪く傷に弱い、シートがはがれる恐れがあるという欠点があります。
 金仏壇は全体に黒い漆が塗られているため、別名「塗仏壇」ともいいます。漆を塗る作業は、多くの手間と高度な技術が必要です。空気が乾燥していると、漆が早く乾きすぎて縮んでしまいます。また、乾かす時はほこりにも気をつけなくてはなりません。漆と同様、金箔を張る作業も高度な技術が必要です。一度塗られた漆の上に再び箔下を塗り、それを接着剤にして金箔を張ります。金箔は厚さによって一枚掛、二枚掛、三枚掛とありますが、最も厚い三枚掛が金の量が多いため、お仏壇も高価になります。金には少量の銀と銅が混ぜられており、純度の高い順に一号色、二号色、三号色となっています。

 


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