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『見直されるお仏壇の役割』

 一昔前はどの家庭にも仏壇がありましたが、最近は仏壇を持つ家が少なくなってきています。
 都市化や核家族化が進む現代においては、仏壇の在る意味というものが、とかく軽視されがちでした。また特に都市における住宅事情が、仏壇を置くようなスペースを許さないといったことも、仏壇離れに拍車をかけています。
 地方から都会に出てきた人の家庭などでは、「実家に仏壇があるからいらない」とか「身近な家族で死んだ人がいないから実感がわかない」といった理由で、仏壇を持つ必要性が感じられないため、持たない人も多いのです。
 しかしこれまであまり顧みられなかった仏壇の役割が、最近ようやく見直されつつあるのです。新聞の家庭欄や雑誌などで、仏壇の役割というものがしばしば取り上げられるようになりましたが、これは以前はまったく見ることのできなかった傾向です。
 それではなぜ仏壇というものが、あらためて注目を集めているのでしょうか。
 最大の理由は、かつての日本では、仏壇が家族の絆を深めるのに大きな役割を果たしてきたということです。この事実が現代において見直され、仏壇の役割が再評価されるようになってきたのです。
 現代の家庭では、全員が揃うということがなかなか難しくなっています。それが週に一度でも、家族が揃って仏壇にお祈りすることを習慣にしていれば、全員が一緒に過ごすという貴重な時間を持つことができます。
 また仏壇にお参りすることで、自分が今こうして生きているのは仏様ご先祖様のおかげであることを自覚でき、それによって感謝の心を育てることができます。
 さらに、揃って仏壇にお参りすることができなくても、父親や母親が、毎日のように仏壇にお供えをしてお参りをしていれば、子供たちには自然と仏様やご先祖様への敬いの心が生まれてきます。それは目上の人への敬いの心を育てることにもつながり、子供の教育においてたいへんいい影響を及ぼします。
 現代は家族というものが崩壊したことによる、様々な社会問題がたくさん起きています。まさに、家族がどうあるべきなのかが問われている時代です。
 だからこそ今、仏壇の役割が見直されているのです。仏壇ときっちりと向き合うことが現代の家族には必要であり、同時に家族の絆の原点が仏壇であるといえるでしょう。

 


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