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『お盆のいわれ』

 お盆は正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といいます。お盆という行事は、親孝行の大切さを説いた『盂蘭盆経』というお経に由来するものです。
 お釈迦様の弟子の一人である目蓮尊者は、神通力が一番すぐれているとされていました。ある時、亡き母が餓鬼道に落ち、逆さ吊りにされて苦しんでいることを神通力によって知り、どうしたら母親を救えるか、お釈迦様に相談に行きました。お釈迦様は、多くの人に施しをすると母親は助かる、と言われたのです。そこで彼は教えに従い、夏の修行期間の明ける7月15日に多くの僧たちに飲食物をささげて供養したのです。すると、その功徳によって、母親は極楽往生がとげられました。
 それ以来(旧暦の)7月15日は先祖に報恩感謝をささげ、供養をする日となったのです。現在、日本各地で行われているお盆の行事は、各地の風習などが加わったり、宗派による違いによりさまざまですが、一般的には先祖の霊が帰ってくると考えられています(ただし、浄土真宗は霊魂が帰ってくるという考え方はしません)。


1.盆踊り
 先に述べた『盂蘭盆経』に記されていた説で、母が苦しみの餓鬼道から救われ、成仏できたことを知った目蓮尊者は、その喜びを身体中で表現しました。その姿は踊っているように見えたのです。これが「盆踊り」のはじまりとされています。
 最近では宗教的な意味合いは薄れてきましたが、元来、盆踊りとは帰ってきた霊を慰め、送り出すために催されてきたのです。また、帰ってきた霊が、供養のおかげで成仏できた喜びを踊りで表現しているともいわれています。

2.月遅れ盆
 現在は8月15日を中心とした3〜4日がお盆であることが一般的です。これを月遅れ盆と呼びます。
 もともとは旧暦の7月15日を中心にお盆の行事が行われていたのですが、明治になって新暦が採用されると、7月15日は当時最も多かった農家の人達の忙しい時期と重なってしまい、都合が悪く、次第に8月15日に行うようになっていったのです。

3.新盆
 新盆とは、故人が亡くなってから初めて迎えるお盆をいいます。喪明け前にお盆に入った場合は、翌年のお盆が新盆となります。
 新盆は故人の霊が初めて帰ってくるという言い伝えから、一般のお盆よりもねんごろに供養をします。親戚や縁者から盆堤灯が送られ、軒先に新盆堤灯(地域によって異なるが、絵柄のない白張堤灯)を飾るのが正式だといわれています。

 


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